●あらすじ…
日ノ本くんにとってニュース番組はなんの意味もない。
長い長い悪魔との会話。
日々ニュースで取りあげられる驚くべき事件はこの世界であたりまえに起こりうる事柄の過程や結果でしかないという事を、彼は知ってしまった。
毎日毎日ニュースキャスターが読み上げるその日のニュース。
例えば”太陽が東から昇り西に沈む”というあたりまえ事、それについて毎日毎日同じトーンで説明されているようにしか彼には聞こえないのだ。
第四章
『悪魔のいない日』
天気のいい日の日ノ本くんは明るい。
強い太陽の日差しに照らされた街。
視界にはいる全てがいつもより鮮やかに見える。
景色が鮮やかになればなるほど、悪魔達の存在はぼんやりする。
悪魔達の声は遠く小さくなり、日ノ本くんへの影響力が及びにくくなる。
日ノ本くんは久しぶりに日ノ本くんらしくその日を過ごした。
与えられた仕事をこなし、友人と楽しく語らい、おいしくご飯を食べた。
そんな日の夕暮れ時。
下から赤い日に照らされてオレンジ色に輝く雲を見ながら日ノ本くんは思う。
きっと昔の人は、あんな雲を見て天国を想像したのだろうなぁ。
今はもういない14体目の悪魔のことを思い出す。
14体目の悪魔は神になった。
神になってしまい日ノ本くんのことなど忘れてしまっただろう。
14体目の悪魔は日ノ本くんがはじめて口を聞いた悪魔。
14体目の悪魔は日ノ本くんのはじめての恋人だった。